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寝ても寝ても眠い・だるいのは何故?眠気といびきに潜む危険性

睡眠時無呼吸症候群で日中眠い男性 内科

日中すごく眠かったり、いびきがひどいと家族に言われたりする方は、睡眠時無呼吸症候群かもしれません。

睡眠時無呼吸症候群とは

いびきと睡眠時無呼吸症候群の違い

加齢による筋力低下、肥満によって舌が大きい、あごが小さいなどを原因として上気道(空気の通り道)が狭くなることでいびきが発生し、更に狭くなって閉塞してしまうと無呼吸・低呼吸となります。

1時間あたりの無呼吸・低呼吸の回数(AHI)が5回以上となる状態を睡眠時無呼吸症候群といいます。

睡眠時無呼吸症候群の症状

大きないびき、睡眠中に頻回に目が覚める、夜間の頻尿、起床時の頭痛・喉の渇き、日中の強い眠気、集中力の低下、倦怠感などの症状が起こることがあります。

寝ている間に無呼吸・低呼吸となって血中酸素飽和度が下がることで身体に負担がかかって上記の症状が起こってきます。

睡眠時無呼吸症候群のリスク ~交通事故のリスクが7倍~

高血圧症は1.4倍(※1)、夜間心臓突然死は2.6倍(※2)、脳卒中・脳梗塞は3.3倍(※3)、糖尿病は4倍(※4)と生活習慣病などの発症に悪影響を及ぼすことが報告されています。

健康診断で高血圧症を指摘されて来院される若い方で実はいびきが酷くてという話があって、検査をしたら重症の睡眠時無呼吸症候群の診断になるということもしばしばあります。

また、居眠りによる交通事故のリスクは7倍と言われています。

※1:Nieto FJ.JAMA 2000;283:1829-1836
※2:Gami AS.N Engl J Med 2005;352:1206-1214
※3:Yaggi HK,et al, N Engl J Med 2005;353:2034
※3:Reichmuth,K et al,Am J Respir Crit Care Med 2005;172:1590-1595

睡眠時無呼吸症候群の検査と費用

自宅で検査が受けられます

簡易検査と精密検査(終夜睡眠ポリグラフ検査;PSG検査)の2つがあります。
どちらも自宅で検査を受けることができます。

簡易検査では指や鼻に検査装置を装着して酸素飽和度(血液中の酸素濃度)や呼吸状態などを計測し、1時間あたりの無呼吸・低呼吸の回数(AHI)を算出します。

精密検査(終夜睡眠ポリグラフ検査;PSG検査)では上記に加えて、脳波や心電図なども記録するより正確な検査となります。

費用は3割負担の場合、簡易検査が約3,000円、精密検査が約1万円です。

睡眠時無呼吸症候群の治療について

CPAP療法・マウスピース・外科的治療があります。

CPAP療法は「Continuous Positive Airway Pressure」の頭文字をとったもので、日本語では「経鼻的持続陽圧呼吸療法」と呼ばれます。閉塞性睡眠時無呼吸タイプに有効な治療方法として現在欧米や日本国内で最も普及している治療方法です。CPAP療法の原理は、寝ている間の無呼吸を防ぐために気道に空気を送り続けて気道を開存させておくというものです。簡易検査でAHI40以上もしくはPSG検査でAHI20以上だとCPAP療法の適応となります。

CPAP療法の適応とならないような軽症の睡眠時無呼吸症候群の方に対してはマウスピース治療が行われることがあります。マウスピースで下顎を上顎よりも前方に出すように固定させることで上気道を広く保ち、いびきや無呼吸の発生を防ぐ治療方法となります。

CPAP療法やマウスピースの治療は対症療法であり、根本治療ではありません。外科的治療は根本治療となり得ますが、再発の報告もあり実施されるケースはそれほど多くありません。

少しでも気になる方は一度検査を受けましょう。睡眠時無呼吸症候群の診断が早くつけば、高血圧症・糖尿病・心臓病・脳卒中・交通事故などを予防できるかもしれません。