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腹部超音波検査で分かる病気は?

腹部超音波検査で分かる病気は? 内科

腹部超音波検査とは

腹部超音波検査では、検査するところの体表にゼリーを塗った上で、プローブという機器を当てて検査を行います。プローブから超音波が出て反射して返ってきたエコーを受信して画像処理を行い、臓器の状態を把握することができます。
胃の奥の膵臓という臓器も観察するので、腹部超音波検査では食事を抜いた状態での検査となります。

検査時間は検査する臓器にもよりますが10~15分程度で、費用は保険適応で自己負担(3割の方で)は1,600~2,000円程度となります。

腹部超音波検査で分かる病気は?

腹部超音波検査では肝臓・胆のう・胆管・膵臓・脾臓・腎臓といった臓器をみることができます。(※膀胱・前立腺・子宮・卵巣などの下腹部の臓器もみることができますが今回は上腹部に限定して記事を書かせていただきます。)

肝臓では

  • 肝細胞癌(肝臓がん):肝臓にできるがん(悪性腫瘍)
  • 脂肪肝:脂質の1つである中性脂肪が肝臓内に多く蓄積した状態
  • 肝硬変:飲酒や脂肪肝、B型肝炎、C型肝炎などによって肝臓がダメージを受け続け肝臓が硬くなってしまった状態
  • 肝嚢胞・肝血管腫:いずれも良性の腫瘍(できもの)

胆のう・胆管では

  • 胆のうがん・胆管がん:胆のう・胆管にできるがん(悪性腫瘍)
  • 胆のう腺筋症:胆のうの壁が厚くなってしまう病気(良性)
  • 胆石:胆のうの中の胆汁という消化液が石になってしまった状態
  • 胆のうポリープ:ほとんどが良性のポリープ(10mmを超えると悪性のリスクがあり手術適応)
  • 胆のう炎・胆管炎:胆のうや胆管に菌が感染し炎症を起こした状態

膵臓では

  • 膵臓がん:膵臓にできるがん(悪性腫瘍)
  • 膵炎:飲酒や胆石などをきっかけに膵臓に炎症をおこす病気
  • 膵石:慢性膵炎によって膵臓内に石ができる病気
  • 膵のう胞:膵臓の内部や周囲にできる水の入った袋状の良性腫瘍

脾臓では

  • 脾臓腫瘍:脾臓に腫瘍ができることは稀ですが、悪性リンパ腫や血管肉腫などの悪性腫瘍や血管腫、リンパ管腫、過誤腫などの良性腫瘍ができることがあります

腎臓では

  • 腎臓がん:腎臓にできるがん(悪性腫瘍)
  • 腎結石:腎臓内に石ができる病気
  • 腎のう胞:腎臓にできる水の入った袋状の良性腫瘍
  • 水腎症:結石や悪性腫瘍などで尿の通り道(尿管)が閉塞して、尿がせき止められて腎盂(腎臓の一部)が拡張してしまう病気

腹部超音波検査のメリット・デメリット

メリット

  • ・痛みは一切なく、放射線を浴びることもなく、簡単で安全な検査
  • ・比較的安い

デメリット

  • ・胃や腸などの観察は難しい(胃カメラ・大腸カメラの方が圧倒的に情報量が多い)
  • ・肥満で皮下脂肪が厚かったりすると膵臓が観察しきれない
  • ・CT検査などと比較すると検査実施者の技量に左右される

まとめ

腹部超音波検査では多くの臓器の情報が簡便に得られます。

腹痛や背中の痛みがあって、胃カメラや大腸カメラを受けて異常がなかった場合なども腹部超音波検査を受けると原因がわかることもあります。様々な臓器のがんを見つけることもできるので、人間ドックや健康診断のオプションとして追加していただくこともおすすめします。早期発見・早期治療のため、定期的な胃カメラ・大腸カメラ・腹部超音波検査を受けましょう。