はじめに
近年、5~6月頃から気温が高くなり、9~10月頃まで暑い日が続くことが増えています。
屋外に長時間いて、熱中症となりめまい・頭痛・食欲不振・倦怠感などを感じた経験がある人も多いでしょう。
熱中症とは
熱中症とは、高温多湿な環境下で体内の水分や塩分(ナトリウムなど)のバランスが崩れたり、体温調整機能が崩れたりすることなどによって、体内に熱がこもった状態のことです。重症度に応じて熱けいれん、熱疲労、熱射病などと呼ばれることもあります。
熱中症は炎天下で運動した時のような場合だけでなく、高齢者がエアコンを使用せず室内で過ごしている場合に発症する事もあります。
熱中症の症状と重症度の分類
熱中症の症状は、重症度によってI度(軽症)、II度(中等症)、III度(重症)に分けられます。
めまい・立ちくらみ・筋肉のこむら返り(足などがつること)・手足のしびれ・気分不快
頭痛・吐き気や嘔吐・倦怠感(体のだるさ)・虚脱感(力が入らない)
高体温・意識障害(呼びかけや刺激への反応がおかしい)・全身のけいれん(体にガクガクとひきつけがある)・呼びかけに反応しない・真っ直ぐに歩けない
といった症状がそれぞれみられます。
熱中症の対処法
熱中症の基本の治療は、体に熱がこもらないような涼しい環境に移動した上で、水分や電解質、糖分を摂取することです。スポーツ飲料や経口補水液を摂取すると良いでしょう。
熱中症が重症な場合、体温が38~40℃を超えるほどになることもあり、体を冷却する必要があります。冷えたペットボトルやアイスパックなどを脇の下、首の付け根、太ももの付け根などに当てたり、水で濡らしたタオルを体の上にかけたり、扇風機やうちわで扇いだりすると良いでしょう。
上述した対応で症状の改善が乏しい場合は、病院を受診するようにしましょう。意識障害(呼びかけに反応が悪い・反応がない)やけいれんを認めた場合は迷わず救急車を呼びましょう。
熱中症に有効な漢方とは
熱中症の症状が出始めた時の頭痛・吐き気・嘔吐などの症状には「五苓散(ごれいさん)」という漢方が効果を示すことがあります。
熱中症で疲弊し、口喝・発汗が持続している時期の食欲不振や倦怠感などの症状には「清暑益気湯(せいしょえっきとう)」が効くことがあります。
熱中症による身体の疲弊が胃腸にも影響し、夏やせ・食欲不振などの症状を認めた時には「補中益気湯(ほちゅうえっきとう)」を飲むと症状が改善に向かうことがあります。
おわりに
猛暑日の外出を控えたり、クーラーを使用したり、こまめな水分補給・涼しいところでの休憩をとったりして熱中症を予防することがまず大事です。少しでも熱中症が疑わしい場合には身体を冷やす・水分や塩分を十分に摂取することが第一です。症状が強い・長引いた際には医療機関を受診して漢方の選択肢も含めて相談すると良いでしょう。